今回は訪問販売について説明します。
訪問販売とは 店舗で契約しても該当するケースがある
訪問販売と聞くと「自宅・職場などに事業者が訪ねてくる」形を連想しがちです。
特商法では「訪問販売」の場所として以下を定めています。
1 店舗以外の場所
2 キャッチセールスで連れていかれた店舗・営業所・その他の場所
3 アポイントメント・サービスで呼び出された店舗・営業所
(1)販売目的を明らかにされていない
(2)「あなただけ特別有利に契約する」旨を告げられた
そもそも訪問販売は、不意打ち的な性質を持つため、1の場所に限らず、2・3も規制の対象としています。
3 アポイントメント・サービスの「(1)販売目的を明らかにされていない」も不意打ち防止の趣旨です。
販売目的を伝えたかどうかで特商法の適用が有無が変わるため、裁判では争点になる場合もあります。
またアポイントメント・サービスにおける呼び出し方法は「特定の個人に対する呼び出し」を対象としています。
電話・郵便などに加え、直近の改正でLINE・フェイスブックなどのSNSが追加されました。
なお、ホームページ・ブログは含まれません。
書面交付義務 クーリング・オフの起算日に影響
訪問販売では、事業者は次の書面を交付する義務があります
1 交付する書面
(1)申込書面 交付時期:消費者から契約の申し込みを受けたとき
(2)契約書面 交付時期:契約を締結したとき
2 記載内容 主な内容は次のとおりです。
(1)契約の当事者に関する事項 事業者名 担当者名
(2)契約の目的物に関する事項 商品名等 型式 数量 商品・役務の種類
(3)契約の代金に関する事項販売価格 支払方法・時期
(4)契約の履行に関する事項 商品引渡時期
(5)契約の解除に関する事項 クーリング・オフ
(6)契約の日付に関する事項 契約日
(7)その他 瑕疵担保責任 契約解除条項 その他特約
3 書面不交付・書面不備の場合
そもそも法定書面が交付されていない場合、クーリング・オフの期間がスタートしません。
この場合、契約から8日を過ぎていてもクーリング・オフの主張が認められます。
法定書面は交付されたが内容の不備が著しいため、法定書面を交付したと実質的に評価できない場合も
同じです。
上記のアポイントメント・サービスに限らず、特商法に関係する事案では細かい聞き取りが必要になります。
また法定書面は非常に重要ですので、問題がありそうな契約をしてしまった場合は、書類は必ず保管をお願
いします。